【ビジネス統計スペシャリストに合格】統計検定との違い、難易度、メリット 解説します。
- 統計検定との違いを知りたいひと
- ビジネス統計スペシャリストのメリットを知りたいひと
はじめに
ご訪問ありがとうございます!
これまで全6回にわたって統計学の超入門学習~統計検定2級の対策まで解説をしました。一応、資格対策のお話はこのビジネス統計スペシャリストの対策記事(全2回)が最後です。
これからご紹介するビジネス統計スペシャリストですが、統計検定と混同しがちな資格です。確かにビジネス統計スペシャリストは2017年に登場した資格です。まだ知名度が低いため、そもそも統計学の有識者でも知らない資格だったりするわけです。
しかし私は思います。
「統計検定ほどしっかりと知識学習はしないが、仕事に役立てたい」
そんなひとにこそ受けてほしい資格なのです。この記事をお読みいただければきっとその理由がお分かりいただけるかと思います。
さてそんなビジネス統計スペシャリストですが、統計検定と全く違う点が一つあります。
それはズバリ、Excelの実技があります。
統計検定では難しい数式を駆使して電卓を叩きながら計算問題を解きます。その点、ビジネス統計スペシャリストでは計算部分がExcelに置き換わると思って下さい。
「じゃあ計算はExcelがやってくれるから楽勝じゃん!」
と言いたいのですが、そうは問屋が卸しません。この資格ではExcel実技と知識問題の両方が出題されます。
つまり統計学の知識をしっかり身につけなければいけません。さらにExcelの問題では用途にしたがって計算ツールを使い分けなければいけません。
ご存知の方向けに一例でお話すると・・・
t検定の計算をするにあたり、対応あり・なしで使用するExcelの計算ツールは異なります。また2標本のデータには対応があるのか・ないのかは自分で判断する必要があります。
統計検定2級の範囲では読み解くだけだった重回帰分析は実際にダミー変数を設定して自分で算出・分析をします。
何も考えずにデータだけを打ち込んで計算すると多重共線性が生じますし、他にも決定係数を見ながら必要に応じて原因係数を削除したりなど、かなり実務的な知識が要求されます。
「では一体どんな対策が必要なのか?」
「そこまでして受験するメリットはあるのか?」
全2回にわたってご紹介するうち、この第1回目の記事では、資格概要、要求される知識とスキル、受験のメリットについて解説します。
ビジネス統計スペシャリストの概要
ビジネス統計スペシャリストといっても、難易度別に2つのテストがあります。
それが、
ビジネス統計スペシャリスト
1:エクセル分析ベーシック
2:エクセル分析スペシャリスト
の2種類になります。
この2種類の違いについてもハッキリさせながら以降で解説をします。
要求される知識・スキル
エクセル分析ベーシック
統計学の超基本とも言える、平均と分散・標準偏差などの基本情報の把握や、Excelの基本的な操作を通じてデータの傾向や相関関係を把握することを目的とします。
具体的には下記が出題範囲です。公式からそのまま記載します。
●ビジネスデータ把握力
平均
中央値
最頻値
レンジ
標準偏差
●ビジネス課題発見力
外れ値の検出
度数分布表
標準化
移動平均
季節調整
●ビジネス仮説検証力
集計
散布図
相関分析
回帰分析
最適値
統計学を学ぶ方にとっては一番最初に通る単元ばかりです。
敢えて例えるのであれば統計検定3級の知識が相当します。
肝心のExcel実技の難易度ですが、主にExcel関数やデータ分析ツールを使用した計算問題を解くことになります。
代表的なところでは、
average関数
standardize関数
stdev.p関数
といった関数や、データ分析ツールの回帰分析などを駆使して問題を解いていきます。
初学者にとってはパッと見で難しそうにも思えますが、どれも超基本的な知識や計算ばかりですのですぐに理解できる内容です。
エクセル分析スペシャリスト
仮説検定や回帰分析がレベルアップして登場します。具体的にはt検定・F検定・カイ二乗検定、重回帰分析などが出題範囲に追加されます。
知識レベルとしては統計検定2級が相当するでしょう。
出題範囲は以下の通りです。公式からそのまま記載しています。
●ビジネスデータの把握力
分析データの理解
1変量データのまとめ方(1)
データの視覚化と基本統計量
1変量データのまとめ方(2)
基本統計量とデータのばらつき
2変量データのまとめ方
●ビジネスデータ仮説検証力
仮説の検定(1)
クロス集計からカイ二乗検定
仮説の検定(2)
平均値の比較からt検定・F検定
仮説の検定(3)
散布図から相関・回帰分析
仮説の検定(4)
質的変数を結果にした回帰分析
●ビジネス課題発見力・予測力
回帰分析の応用(1)
原因系変数を2つ以上にした回帰分析
回帰分析の応用(2)
ダミー変数の活用と時系列データの分析
先ほどのエクセル分析ベーシックとは違い、ある程度の学習時間を確保しないと突破が難しい内容です。
とはいえ出題範囲は大学の統計学基礎レベルです。文系出身12年ぶりに数学を学んだ私でも合格することができたので、誰もが目指せないレベルではありません。
合格基準と難易度
合格点
●エクセル分析ベーシック
試験時間は60分、出題数は40問前後の択一・穴埋め形式です。
合格基準は700/1000点となっています。
●エクセル分析スペシャリスト
試験時間は60分、出題数は30問(知識問題が20問・エクセル実技が10問)
合格基準は700/1000点となっています。
試験時間は60分ですが、知識問題で考え込みすぎたり、Excelの計算がもたつくと時間があっという間に過ぎてしまうギリギリの時間設定です。
難易度
●エクセル分析ベーシック
先ほども説明しましたが、統計検定3級に相当します。具体的には高校生レベルの知識ですが、統計検定と違って確率の問題や回帰分析の手計算がありません。
従って、統計学の基礎知識をしっかりと学習してExcel操作をいくつか習得することで容易に合格をすることができます。
●エクセル分析スペシャリスト
こちらも説明が被りますが、統計検定2級に相当します。エクセル分析ベーシックに比べて、より実践的に難易度が上がっています。
実務で多用する統計手法の間違えやすいポイントを細かく問われるので、知識は完璧に仕上げないとキツい場面があります。また図・表の作成結果から答えを導き出すことや、データ分析ツールをフルに活用した多変量のデータ解析をします。
Excelの操作が圧倒的に増えるので、単純な統計学の知識だけでは突破しづらい試験です。
気になる両試験の合格率ですが、こちらは公開されていません。
私の完全な主観になってしまいますが、統計検定3級に合格する知識があればエクセル分析ベーシックは限りなく合格に近づきます。エクセル分析スペシャリストも同様で、統計検定2級程度の知識を持っていれば十分に突破が可能です。
同時にこの資格の合否を左右するのは試験最大の特徴でもあるExcel操作です。Excelを使用して徹底的に練習することが合格の近道となるでしょう。
使用する分析ツールの見極めやショートカットキーの操作などを素早く行わないとあっという間にタイムオーバーになってしまうためです。
ここまで読んで不安になった方もいらっしゃるかもしれませんが、次回の記事では知識問題も含めてエクセル分析スペシャリストの対策方法をご紹介します。
しっかり対策をすれば突破は難しくないのでご安心下さい。
試験日と申し込み方法
ビジネス統計スペシャリストはCBT方式(パソコンを使用した試験)のみです。特定の受験日や会場があるわけではなく、自身の受けたいタイミングに近くのテストセンターで受験が可能です。
CBT方式の申し込み方法は統計検定と全く同じです。
以前の記事でご紹介しておりますので参考にして下さい。
ビジネス統計スペシャリストは、統計検定と違って必要な持ち物はありません。メールで届く受験票と身分証明証があれば受験可能です。
※特別な受験資格もありません
ビジネス統計スペシャリストのメリット
ここまでビジネス統計スペシャリストの概要について解説をしましたが、果たして受験のメリットはあるのでしょうか。
「統計検定だけで大丈夫」
「データ分析は他にもあるから大丈夫」
といったご意見もあって当然ですし、もっともなお話だと思います。確かに統計学の知識という点では求められる知識は統計検定の方が圧倒的な量です。
しかし実務スキルという点ではどうでしょう。
全てのビジネスマンがRやPythonを使うのでしょうか。
決してそんなことはないはずです。
※勿論どちらも大変すばらしいツールです
おそらくオフィス勤務のビジネスマンが標準的に扱うのはoffice365やgoogleのビジネスツールではないでしょうか。
「データアナリストやマーケターほどの知識・ツールは求めない」
「統計学の知識・スキルがあれば一つ上の視点から業務を見直すことができる」
という方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
そういった点で私は以下2つのメリットが大きいと思います。
統計学の知識が身に付く
エクセル分析スペシャリストまで取得すると、統計検定2級程度の知識が身に付きます。
これは統計学の超基本的な
・表やグラフの読みとり
・平均、分散と標準偏差
といった知識を飛び越え、
「改善策の実施は過去のデータから見て効果があったのか」
「アンケートの回答結果から本当に意味のある集計ができたのか」
「複数の施策が売上に与えた影響値はどの程度か。逆に意味のない施策はあるか」
など、どこの仕事現場でも起こりうる疑問に対して一つ上の視点から答えることができるようになります。
Excelを使ったデータ分析が出来る
Excelの実技習得は、この資格の趣旨でもあります。
先ほど一例として挙げたそれぞれ、
「改善策の実施は過去のデータから見て効果があったのか」
⇒t検定
「アンケートの回答結果から本当に意味のある集計ができたのか」
⇒カイ二乗検定
「複数の施策が売上に与えた影響値はどの程度か。逆に意味のない施策はあるか」
⇒重回帰分析
というExcelのデータ分析ツールを使用して答えることができます。
「Excelがないと出来ないのか」
というと、そんなこともありません。
グーグルのスプレッドシートにXLMiner Analysis ToolPakという機能をスプレッドシート上で追加すれば同様の分析ができます。
つまり、どんな方にとっても統計学を使ったデータ分析をする環境は容易に整えることができます。
ここで問題になるのは
「データ分析に必要なスキルは持っているか」
「計算ツールの操作や、用途ごとに使い分けができるか」
の2点です。
ビジネス統計スペシャリストはこうした問題を解決する点において非常に有効な資格です。
まとめ
今回はビジネス統計スペシャリストの試験概要とメリットについてご紹介しました。
「統計学」
「データ分析」
と聞くと身構えてしまうかもしれません。しかしそんな必要はございません。
統計学は私たちの身近な生活を始めとして、ビジネスの現場でもすぐにでも役立てることができるのです。
そういった意味で、
「統計検定ほどしっかりと知識学習はしないが、仕事に役立てたい」
という方には最適な資格とも言えます。
ここまで読んでいただき、この資格に興味を持っていただければ幸いです。次回の記事ではエクセル分析スペシャリストの対策方法を解説します。
対策記事や体験談などがあまりない中で編み出した勉強方法ですので、少なからずお役に立てるかと思います。
それではまた次回お会いしましょう。
お読みいただきありがとうございました!
ご参考までに・・・
次回の記事ではより詳しく解説をしますが、ビジネス統計スペシャリストには公式テキストが存在します。
気になる方はご購入されてみてはいかがでしょうか。どちらの受験にも必須アイテムです。
Excel で学ぶ ビジネスデータ分析の基礎 ビジネス統計スペシャリスト・エクセル分析ベーシック対応
Excel で学ぶ 実践ビジネスデータ分析 ビジネス統計スペシャリスト・エクセル分析スペシャリスト対応
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